物語の主人公は、29歳の青年・武(たけし)。教員採用試験に落ち続け、夢を諦めた彼は、パチンコ店でアルバイトをしながら無気力な日々を送っていました。何者にもなれず、社会の片隅で息を潜めるように生きる武のもとへ、かつての教え子である智代から突然の電話が入ります。
シングルマザーとして働く智代の事情から、武は彼女の娘である小学2年生の陽名(ひな)を預かることになります。こうして始まった、血縁関係のないふたりのぎこちない同居生活。主要な登場人物たちの関係性は以下の通りです。
- 武(たけし):過去の挫折を引きずり、自分には何の価値もないと思い込んでいる青年。陽名との生活を機に、自炊を始め生活を立て直していく。
- 陽名(ひな):7歳ながら周囲の大人の顔色を敏感に察知する少女。物わかりが良すぎるがゆえに、自分の本音を胸の奥に閉じ込めている。
- 智代(ともよ):陽名の母親。仕事を掛け持ちしながら必死に娘を育てているが、心身ともに限界を迎え武を頼る。
コンビニ弁当ばかりだった武の食卓に手料理が並び、小学校の送り迎えや何気ない会話を重ねる中で、ふたりの間には特別な絆が芽生え始めます。武は陽名の純粋な瞳を通して、自分が失いかけていた「誰かを大切に思う気持ち」を取り戻していきます。