文化作品のタイトルに耳を澄ませると、「where」のリズムがより鮮明に浮かび上がる。モーリス・センダックの名作絵本を原作とした映画『かいじゅうたちのいるところ』(原題:Where the Wild Things Are)はその格好の例だ。
原題をネイティブが口にする際、冒頭の「Where」は濁りなく滑らかな /w/ のアプローチから始まり、続く「the Wild Things」へと淀みなくグルーヴが繋がっていく。ここに「ホ」という破裂に近い息の音を挟んでしまうと、英語特有の滑らかなメロディラインが断ち切られてしまう。
文学や映像作品における「where」は、単なる場所の指定を超えて、未知の空間や心象風景を指し示す詩的な響きを帯びる。その滑らかな導入音をカタカナで近似するなら、喉の奥から息を吐き出す「ホウェア」ではなく、唇をすぼめて開放する「ウェア」の方が、作品の持つニュアンスをより忠実に再現できる。