西郷隆盛という人物が放つ独特の磁力は、時代を超えてエンターテインメント界を刺激し続けてきた。NHK大河ドラマ『西郷どん』で見せた愚直なまでの情熱と苦悩は記憶に新しく、現在もNHKオンデマンドなどで見返す視聴者が後を絶たない。
国境を越えた影響力も見逃せない。ハリウッド映画『ラスト サムライ』で渡辺謙が演じた勝元盛次のキャラクター造形は、明らかに西郷の最期をモデルにしている。武士道という倫理観を胸に、急速な近代化の波に呑まれながら散っていった孤高の指導者像は、海外の人々にとっても東洋のロマンそのものだった。
上野の丘に立つ着物姿の巨人は、軍国主義的な覇権とは対極にある、無私と情愛のリーダーシップを象徴している。だからこそ、社会が激しく揺れ動く現代においても、彼の眼差しは訪れる者の心に静かな共鳴を呼び起こすのだ。