中村晃子の才能は音楽だけに留まらなかった。大手映画会社の松竹株式会社に所属し、銀幕の世界でも圧倒的な存在感を発揮したのだ。1950年代末から1970年代へと続く日本映画産業の黄金期において、彼女は数々の話題作で強い印象を残していく。
中でも特筆すべきは、国民的人気シリーズの第7作『男はつらいよ 奮闘篇』への出演だろう。山田洋次監督が描く人情味溢れる世界観の中で、中村晃子が見せた等身大の演技と華やかさは、作品に独特の彩りを添えた。映画監督や演出家たちの意図を瞬時に汲み取る勘の良さと度胸は、撮影現場のクリエイターたちを大いに唸らせたという。