日本における『トイ・ストーリー』の爆発的なヒットを語る上で欠かせないのが、奇跡的なキャスティングと評される日本語吹き替え声優陣の存在です。
ウッディ役を務める唐沢寿明と、バズ・ライトイヤー役の所ジョージ。原語版でウッディを演じる名優トム・ハンクスの温かく神経質なニュアンスと、バズを演じるティム・アレンの重厚なコメディ感を巧みに咀嚼し、日本独自の息の合ったバディ感を確立しました。
唐沢寿明は、ウッディの正義感と人間臭い嫉妬心を絶妙な声のトーンで表現し、所ジョージは独特の脱力感と決め台詞「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」の力強さのギャップでバズに唯一無二の命を吹き込みました。両名は30年近くにわたりキャラクターの魂を守り続けています。
また、脇を固めるキャスト陣の変遷にも多くのドラマがあります。ミスター・ポテトヘッド役は、長年務めた名古屋章の逝去後、実力派舞台俳優の辻萬長が引き継ぎ、さらに辻の逝去後は第4作以降、名優大塚明夫がその重厚なバトンを受け継ぎました。原語版でポテトヘッドを演じたドン・リックルズが第4作の制作前に逝去した際、過去のアーカイブ録音から音声を繋ぎ合わせて出演を果たしたエピソードは、制作陣のおもちゃと声優への深い敬意を示すものとして有名です。
さらに、第4作で新風を吹き込んだフォーキー役の竜星涼によるナイーブな演技や、ボー・ピープ役を長年務める戸田恵子の気品と力強さを兼ね備えた名演など、日本の吹替カルチャーの最高峰がこの作品に結集しています。