点字を初めて学ぶ人が最も驚くのが、「読むときは左から右へ読むのに、点字器で書くときは右から左へ打つ」というルールです。この一見不思議な仕組みは、点字の凸面と凹面の物理的な関係を知ることで明確に理解できます。
指先で触れて読む点字は、紙の表面にポコッと盛り上がった「凸(とつ)面」です。しかし、金属製の針(点筆)と定規のような器具(点字器)を使って手書きする場合、紙の上から針を押し込んで裏側に突起を作り出します。つまり、手書き作業中は「紙の裏側(凹面)」を作成している状態になります。
裏側から針を刺して文字を作り、書き終わった後に紙を表にひっくり返して読むため、書く段階ではあらかじめ左右を逆にしておかなければなりません。そのため、行の進み方も通常の横書きとは逆の「右から左」へと進めていくことになります。この反転の理屈さえ腑に落ちれば、手書き点字への苦手意識は一気に解消されます。