世間からの厳しい批判が渦巻く中、極楽とんぼの再始動は決して容易な道ではなかった。加藤は個人のレギュラー番組を多数抱え、MCとしての確固たる地位を築いていた。リスクを考えれば、ソロ活動に専念するほうが安全だったはずだ。しかし、彼は相方を見捨てなかった。
「いつか二人で再びマイクの前に立つ」。その想いだけが加藤を突き動かしていた。だからこそ、甘えや妥協を一切許さないあの過酷な叱責が生まれた。山本圭壱に背負わせた反省の重みと、自らが背負ってきた10年間の葛藤。カメラの前で見せた泥臭い喧嘩劇は、作り込まれた台本など存在しない、二人の生々しい感情のぶつかり合いだった。