現在、日本の紳士服業界は空前の「機能性ラグジュアリー」の波に乗っている。かつてのアパレル産業においては、式典用スーツと言えば重厚で堅苦しい仕立てが常識だった。しかし、現在の市場に並ぶラインナップは大きく異なる。
ストレッチ性に優れ、長時間の式典でもシワになりにくいハイテク素材を使いながら、見た目は最高級の天然ウールに見間違うような高精細な生地開発が加速している。立ち座りが多く、カメラを構えて子供を追いかける父親たちの現実的な動作を計算し尽くした最新設計だ。
地味で退屈なリクルートスーツ風スタイルを打破するため、各メーカーはジャケットのラペル(衿)幅やウエストのシェイプ位置を微調整。羽織るだけで腰位置が高く見え、背筋が自然と伸びるコンシャスな仕立てがトレンドの中心を占めている。