花びら餅の正式名称は「菱葩餅(ひしはなびらもち)」と呼びます。もともとは宮中だけで食されていた禁裏伝来の特別な祝儀菓子であり、一般庶民が口にできるものではありませんでした。
この伝統菓子が広く知られる大きな転換期となったのが、明治時代の初頭です。裏千家十一代家元である玄々斎が、新年の茶会である「初釜(はつがま)」の主菓子として用いる許可を宮中から得たことで、茶道の世界を通じて全国へと広まっていきました。
当時、京都の宮中に菓子を納めていた老舗「川端道喜(かわばたどうき)」が裏千家のために試行錯誤を重ねて作り上げたものが、現在私たちが目にする花びら餅の原形とされています。茶道の精神と宮中の雅な文化が融合したことで、お正月に欠かせない格調高い祝い菓子として定着しました。