なぜ竹久夢二の作品は、1世紀以上の歳月を経てもなお現代人の心を掴んで離さないのでしょうか。美術社会学的な視点で見ると、夢二の描く女性像は、明治までの封建的な女性像から脱却し、自我や孤独、移ろいゆく感情を抱え始めた「近代の個人」のリアルな内面を可視化した存在でした。
恋人であったたまき、彦乃、お葉との波乱に満ちた愛憎劇や、関東大震災のスケッチなど、夢二自身の人生そのものが激動の時代と分かち難く結びついています。ただ美しいだけでなく、どこかに哀しみと毒を秘めたデザイン感覚こそが、大正ロマンの真髄といえます。
最後に、本美術館への訪問が適している人と、別の選択肢を検討すべき人の条件を明確に整理します。
◎ こんな人に心からおすすめ
- 大正ロマン、昭和レトロ、近代グラフィックデザインの歴史に興味がある人
- 谷根千エリアや東大本郷キャンパス周辺の散策と合わせて、落ち着いた文化的な散歩を楽しみたい人
- 1枚のチケットで挿絵カルチャーと夢二美術の2つの世界を効率よく楽しみたい人
▲ 慎重に検討すべきケース
- 国立新美術館のような巨大なホワイトキューブで、壁一面の巨大絵画だけを鑑賞したい人(館内は歴史あるコンパクトな私立美術館の佇まいです)
- ベビーカーや大きなキャリーケースを持参しての移動を想定している人(館内階段の移動があるため、手荷物は駅のコインロッカー等に預ける配慮が推奨されます)