六曜社珈琲店を語るうえで、最も多くの人が混乱し、同時に最大の魅力となっているのが「1階」と「地下店」の二面性です。建物入口の正面扉を入ると1階喫茶室、左手の急な階段を降りると地下店が広がっていますが、実はこの2つの空間は単なるフロア分けではなく、それぞれ異なるコンセプトと抽出哲学で運営されています。
1階は、創業当時からのクラシックな純喫茶の趣を色濃く残す空間です。赤みを帯びたソファーとタイル張りの壁、落ち着いた照明のなか、ネルドリップで丁寧に淹れられる深煎り珈琲が主役。ゆったりと新聞を広げる地元常連客の日常が息づいています。
一方の地下店は、日本の自家焙煎界で伝説的存在となった2代目マスター・奥野修氏が手掛けた空間。直火焙煎機による自家焙煎豆を用い、豆の産地や焙煎度(浅煎り・中煎り・深煎り)を選べるペーパードリップを中心に提供しています。さらに18時以降になると、棚に並ぶ銘酒がライトアップされ、格式高いバー(BAR)へと変貌を遂げるのが地下店の決定的な特徴です。