トマトのピクルス作りで最も敬遠される作業が「皮の湯むき」です。沸騰した湯と氷水を用意し、十字に切れ目を入れて皮を剥く工程は、忙しい日々の調理において大きなハードルとなります。しかし、適切な下処理を行えばトマトのピクルス湯むきなしでも驚くほど味が染み込み、パリッとした心地よい歯ごたえを楽しむことができます。
現場の料理人が実践する裏ワザは主に2通りあります。1つ目は、ヘタを取り除いた窪みを中心に、爪楊枝や竹串で4〜6箇所ほど深めの穴を開ける手法です。トマトの皮は強固なクチクラ層で覆われており調味液を通しませんが、微小な孔を設けることで毛細管現象のようにピクルス液が果肉内部へ直接浸透します。
2つ目は、ヘタを取ったトマトを一度冷凍庫で20〜30分だけ冷やす「ショック冷却法」です。凍結直前に生じる細胞壁の微小な収縮により、皮の表面組織が緩んで調味液が格段に吸着しやすくなります。
また、プチトマトだけでなく大玉トマトを使った丸ごとトマトピクルス作り方も人気を集めています。大玉の場合はヘタをくり抜き、底面に十文字の浅いスリットを入れた上で、温かいピクルス液を注いで粗熱を取る手法が適しています。果肉の厚みがある大玉トマトは、ジューシーな果汁とピクルス液が混ざり合い、崩しながら食べる贅沢なアミューズへと仕上がります。