山口智子が本作で見せたビジュアルスタイルは、当時の日本のファッショントレンドを完全に塗り替えました。それまでの主流だった肩パッド入りのコンサバティブなスーツスタイルや華美な装飾とは対照的に、南が劇中で着用したのは、着古したオーバーオール、ラフなチェックシャツ、シンプルなTシャツやデニムといった機能的かつカジュアルなアイテムでした。
この葉山南の衣装は、スタイリストと山口智子本人の意見が強く反映されたものであり、「生活感がありながらも抜群に洗練されている」という絶妙なバランスを実現していました。飾らない日常着を堂々と着こなす姿は、女性たちに「背伸びをしない等身大の心地よさ」という新たな美意識を植え付けました。
また、ラフな動きをつけたショートボブやショートヘアは、全国の美容室で「山口智子風にしてください」というオーダーが殺到する社会現象へと発展しました。軽やかで意志の強さを感じさせるそのヘアスタイルは、自らの足で人生を切り拓く自立した女性のシンボルとなったのです。