エイミーズ・ベイキング・カンパニーの炎上事件が海外レストラン炎上事件の象徴とされる理由は、テレビ番組内のトラブルにとどまらず、インターネット空間を巻き込んだ未曾有の泥沼劇へと発展した点にあります。
発端となったのは、アメリカの大手ローカル口コミサイト「Yelp」でのユーザーとの対立でした。放送以前から、低評価をつけた一般レビュアーに対してエイミーが攻撃的な長文返信を繰り返し、「味のわからないバカ」「営業妨害の工作員」と罵倒していたことが地元で知られていました。番組出演を決めた動機自体も、「ネット上の不当な悪評をラムゼイに見返してもらい、自分たちが正しいと証明させるため」という独善的なものでした。
しかし、番組が放送されるとネット掲示板のRedditや4chan、Facebookに数十万人規模の視聴者が殺到。これに激高した夫妻は、公式Facebookページで大文字(英語圏における怒鳴り声の表現)を多用した罵詈雑言の投稿を連発しました。ネットユーザーを「神の裁きを受けるべき悪魔」「負け犬ども」と威嚇し、事態は収集がつかない大パニックへと突入。翌日になり、夫妻は「アカウントがハッキングされた」「投稿は自分たちのものではない」と釈明記者会見を開きましたが、あまりに苦しい言い訳に火に油を注ぐ結果となり、デジタルマーケティング史に刻まれる「最悪の危機管理対応」として記録されることになりました。