1984年、50歳をすぎて監督デビューを果たした一作『お葬式』は、当時の日本映画界に激震を与えた。身内の死という悲劇的かつ極めてプライベートな儀式を、滑稽極まりない人間模様の劇へと昇華させた手腕。誰もが経験する日常の延長線上にある不条理に着目し、観客を爆笑させながら社会の本質を突く手法こそ、彼が開拓した「社会派コメディ」の真骨頂だった。
それまでの邦画界において、興行的なリスクが高いとされていたジャンルを見事に大ヒットへと導いた功績は計り知れない。配給を担当した東宝をはじめとする映画産業の関係者たちは、突如現れたこの異才の商才と美学に驚嘆した。映画とは高尚な芸術であると同時に、大衆を熱狂させる極上のエンターテインメントでなければならない――そんな彼の哲学が、作品の隅々にまで脈打っていた。