京都・大原発祥とされる伝統的な「柴漬け」は、もともとナスと赤紫蘇、塩のみを使い、酢を使わずに植物性乳酸菌の自然発酵によって酸味を生み出す発酵食品です。平安時代、建礼門院がその味に感銘を受けて「紫葉漬け」と名付けたという故事が伝わっています。
本格仕込みを行う場合、ナスは縦半分に切ってから斜め乱切りにし、塩揉みして徹底的にアクを含んだ黒い水分を絞り切ることが第一段階です。アクを残すと発酵中に濁った渋みが生じ、美しい紫色が妨げられます。
下処理した赤紫蘇とナスを交互に重ね、しっかり空気を抜いた状態で重石をかけ常温(20℃〜25℃前後)で2〜3日置くと、乳酸菌がナスに含まれる糖分を分解して乳酸を生成し始めます。気泡がわずかに立ち、爽やかな酸の香りが漂ってきたら発酵成功のサインです。その後は冷蔵庫に移して低温熟成させることで、過度な酸敗を防ぎつつ深いコクを定着させることができます。