リッター100円〜110円という価格がどれほど異常な領域だったかは、日本のガソリン税と暫定税率の仕組みを精査するとより鮮明になります。日本のガソリン小売価格には、原油価格に関わらず固定額で課される重い税金が組み込まれています。
ガソリン1Lあたりには、本則税率28.7円に加えて旧暫定税率分25.1円が上乗せされた「揮発油税・地方揮発油税(計53.8円/L)」と「石油石炭税(地球温暖化対策税含む約2.8円/L)」の、合計約56.6円の固定税金が必ず課されます。さらに、燃料本体とこれらの税金を合わせた総額に対して消費税が上乗せされる「タックス・オン・タックス(二重課税)」の構造となっています。
つまり、2016年当時に店頭で110円/L(当時の消費税8%込み)で販売されていた場合、税金を除いた「ガソリン本体+スタンドの粗利益」はわずか45円〜50円程度しか残っていませんでした。油田からの輸送費、製油所での精製コスト、タンクローリーの配送費を差し引くと、元売りやガソリンスタンドの利益マージンは極限まで削られていた計算になります。当時の100円前後の価格は、原油暴落とスタンド同士の消耗戦が限界まで突き詰められた「物理的な底値」だったと言えます。