専門店において「うな重」が4,000円〜6,000円台を推移するのに対し、「穴子重」や穴子めしが2,000円〜3,500円前後で提供されるケースが多い理由は、漁獲と養殖における構造的な生産コストの差にあります。
流通している国産うなぎの99%以上は、天然の稚魚である「シラスウナギ」を捕獲し、養鰻池で成魚まで育てる養殖ものです。しかし、シラスウナギの来遊量は国際的な乱獲や海洋環境の変化によって激減しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。稚魚の取引価格が1kgあたり数百万円に跳ね上がる年もあり、これが最終的な店頭価格を押し上げる最大の要因です。
対する穴子は、主に天然のマアナゴを延縄(はえなわ)や筒漁、底引き網で漁獲します。国内有数の産地(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、対馬沖など)に加え、韓国や中国からの安定した輸入ルートが確立されています。完全養殖に依存しない天然水揚げ主体の供給網が形成されているため、うなぎのような極端な価格高騰を避けられているのです。