両者の関係性を語る上で外せないのが、那須川天心がまだキックボクサー時代、そして井上尚弥がバンタム級統一を目指していた時期に行われた大橋ジムでのスパーリングセッションです。
当時、関係者の証言やメディアの取材によって断片的に明かされた内容によると、井上尚弥はヘッドギア越しでも伝わる強烈なジャブと圧倒的なポジショニングで天心を圧倒。天心自身も後にインタビューやメディア出演の場で、「パンチが見えなかった」「プレッシャーが凄まじかった」とその異次元の強さを素直に認めています。
しかし、ボクシング界の識者やトレーナー陣の評価は単純な「優劣」だけにとどまりません。当時まだボクシングの専門的なトレーニングを積んでいなかった天心が、井上の猛攻に対して持ち前の天性の勘と反射神経で致命打を回避していた点に、多くの専門家が「ボクサーとしての底知れない潜在能力」を見出していました。プロ転向を経てボクシングの技術体系を完全に身につけた現在、もし再び拳を交えることがあれば、当時とは全く異なる展開になることは間違いありません。