エリゼ宮で颯爽と振る舞うブリジット夫人ですが、その生い立ちはフランス北部屈指の名家と結びついています。1953年4月13日、アミアンの老舗ショコラティエ「ジャン・トロニュー(Jean Trogneux)」の創業者一族の末娘として誕生しました。地元でマカロンやチョコレートの高級菓子店を展開する名門一族の庇護のもと、何不自由のない環境で豊かな教養を育みました。
公開されている学生時代のポートレートや若い頃の写真からは、ブロンドのボブカットに意志の強そうな大きな瞳を輝かせ、当時流行のミニスカートやプレッピースタイルを着こなす利発な令嬢の姿が見て取れます。文学士号を取得した後は教育者の道を志し、ストラスブールやパリ、そして故郷アミアンの教育機関で教鞭を執り続けました。
転機となったのは、マクロンが経済大臣として入閣した2014年のことです。ブリジットは30年以上に及ぶ教壇生活にピリオドを打ち、夫の政治活動をフルタイムでサポートする決断を下しました。2015年6月2日、スペイン国王夫妻を迎えたエリゼ宮の公式晩餐会で初めて公の場に姿を現すと、その洗練された佇まいと知的な振る舞いは「新たな時代の知性派パートナー」として一躍脚光を浴びることとなりました。