ネット上の言説において時折見受けられるのが、「浅香唯はスケバン刑事のブームに乗って事務所にプロデュースされた受け身のアイドルだったのではないか」という安易な見方です。しかし、彼女の音楽的足跡を詳細に検証すると、この俗説が明確な誤解であることが分かります。
実は浅香唯は、少女時代からロックバンドや洋楽への強い憧れを抱いており、自らの音楽性に対して非常に強いこだわりを持っていました。その意思が色濃く反映されているのが、『Believe Again』が収録された1988年発売のベストアルバム『Present』や、その後に続くオリジナルアルバム『Rainbow』『HERSTORY』などの作品群です。
彼女は制作現場において、単に用意されたメロディを歌うだけでなく、コーラスワークやリズムのニュアンス、さらにはステージでのバンドアレンジに至るまで、制作陣と対等にディスカッションを重ねていました。アイドル全盛期特有の「完全分業制の管理システム」の中にありながら、彼女は自らのロック魂とボーカリストとしてのアイデンティティを懸命に主張し続けていたのです。『Believe Again』のサビに見られるエッジの効いた節回しや力強いアタック感は、彼女自身の内なるロック志向が引き出したオリジナリティそのものと言えます。