「パニエとペチコートは何が違うのか」という疑問は、衣装選びにおいて極めて頻繁に生じるトピックです。外見上はどちらもスカートの下に重ねるアイテムに見えますが、その設計思想と物理的な機能は明確に二分されます。
ペチコートの主目的は「摩擦の低減」「下着の透け防止」「静電気の抑制」です。生地にはサテンやトリコット、ポリエステルなどの滑らかな素材が用いられ、スカート生地が脚にまとわりつくのを防ぎ、歩行時のドレープを滑らかに見せる裏地的なサポートを担います。したがって、ペチコート単体ではスカートを外側に大きく持ち上げるリフト力(復元力)はほとんど持っていません。
一方、パニエの主目的は「スカートの空間拡張と形態維持」にあります。ハードチュールを幾重にも重ねたフリル構造や、円形の弾性ワイヤーを内蔵したフレーム構造によって、重厚なサテン地や多層レースの重量に負けることなく、ドレスを外側へ押し広げます。この物理的なリフト力こそが、ウエストを細く見せる対比効果(コントラスト効果)を生み出し、立ち姿だけでなく歩行時にも崩れない完璧なドームシルエットを形成する真相です。