酒類業界に走った激震の引き金を引いたのは、業界大手の鮮烈な方針転換だった。アサヒビール株式会社はいち早く、アルコール度数8パーセント以上の缶チューハイ市場から事実上撤退する方針を固め、新商品の投入停止と既存ラインナップの整理を断行した。同社が掲げたのは「スマートドリンキング(適切な飲み方の提案)」という企業メッセージだ。目先の売上高よりも、社会的な健康責任を優先するという経営判断は、業界関係者を大いに驚かせた。
キリンビール株式会社も追随するように、定番ブランド「氷結」シリーズなどにおいて高濃度ラインの展開を大幅に見直し、7パーセント以下や糖類オフの低負荷志向へと舵を切った。熾烈なシェア争いを繰り広げてきた各社にとって、ストロング系チューハイはかつてRTD市場の爆発的成長を牽引したドル箱だった。だが、ESG経営や国際的なヘルスケア基準への適合が求められる現代において、高濃度アルコールで過度な飲酒を誘発するビジネスモデルは、もはや持続可能ではなくなった。