西洋的な精神医学と東洋的な洞察を融合させ、脳の過熱を止める新たな選択肢を提示したのが、マサチューセッツ大学医学部教授のジョン・カバット・ジンである。彼が1970年代末に開発した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」は、医療や心理療法の領域にとどまらず、ストレス対処の基盤として広く浸透した。
マインドフルネスとは、過去への後悔や未来への不安に捉われることなく、「今、この瞬間」の体験に評価や判断を加えず注意を向ける作業だ。呼吸や身体感覚に集中することで、絶え間なく湧き上がる雑念から距離を置き、過剰活動を起こしている偏桃体を鎮める効果が実証されている。心が擦り減ったとき、必要なのは新しい解決策を探すことではなく、ただ思考の渦から静かに降りる時間なのだ。