機能面での革新と並んで見逃せないのが、配達員が果たす社会的な見守り機能だ。地域社会で牛乳配達員(ミルクマン)が担う役割は、単なる荷物の受渡しにとどまらない。前日に入れた牛乳瓶がそのまま残っていないか、郵便受けが新聞で溢れていないかといった異変にいち早く気づくことができる、極めて精度の高い「生きたセンサー」として機能している。
すでに複数の自治体では、警察や社会福祉協議会と連携協定を結び、孤立しがちな独居高齢者のセーフティネットとして配達網を公的に組み込む動きが定着した。防犯パトロールの腕章を巻き、街の異常に目を光らせる配達員たちの存在は、希薄化する地域コミュニティにおける防波堤となっている。行政コストを抑えながら高齢者の見守りと孤独死の未然防止を両立できるこの仕組みは、超高齢社会の日本において代替不可能な価値を持つ。