やなせたかし氏が創造した世界観において、「絶対的な悪」は存在しない。バイキンマンもドキンちゃんも、人間が誰しも持っている欲求やズルさ、弱さを象徴するキャラクターとして描かれている。だからこそ、視聴者は彼らを嫌いになることができないのだ。
日本のキッズアニメ史において、これほど長く愛され続ける敵役コンビは極めて珍しい。フレーベル館から出版された絵本からスタートし、トムス・エンタテインメントによるハイクオリティな映像化を経て、今や日本のアニメーション産業を代表するアイコンとなった。ただいたずらをするだけの存在ではなく、人間味あふれる喜怒哀楽を見せてくれるバイキンマンとドキンちゃんがいるからこそ、『それいけ!アンパンマン』という作品全体に深い奥行きと温かみが生まれている。