一般皮膚科と美容医療(美容皮膚科・美容外科)の最も根本的な差異は、診療目的が「疾患の治療(機能回復)」にあるのか、「整容的な美しさの追求(QOL向上)」にあるのかという点です。
日本国内の医療保険制度において、シミ取りの保険適用条件は極めて厳格に定められています。健康保険が適用される色素病変は、生まれつきまたは後天的なアザの一種である「太田母斑」「異所性蒙古斑」「扁平母斑」、あるいはケガや事故の痕に残った「外傷性色素沈着」などに限定されます。これらは厚生労働省が認可した疾患であるため、指定のQスイッチレーザー機器等を用いた標準治療に3割負担が適用されます。
一方、紫外線や加齢によって生じる最も代表的な老人性色素斑の治療法や、女性ホルモンのバランスや摩擦が関与する肝斑、雀卵斑(そばかす)などは、健康に直接の害を及ぼさない「生理的な加齢現象」とみなされます。したがって、たとえ大学病院の一般皮膚科を受診したとしても、保険証は一切使えず自由診療(全額自己負担)になります。
一般皮膚科の主な役割は、皮膚炎や湿疹、皮膚がん(悪性黒色腫など)の鑑別・治癒です。そのため、保険適用の疾患でなければ、ビタミン剤の処方や簡単な液体窒素による冷凍凝固術を提案されるにとどまるケースが少なくありません。しかし、冷凍凝固術はシミを薄くする代償として、強い炎症後色素沈着(戻りジミ)を残すリスクを伴います。傷跡を極力残さず、周囲の正常な肌と馴染ませるような「きめ細やかな審美性」を求めるならば、最初から自由診療の設備が整った美容皮膚科や美容外科を選択するのが臨床上の常識です。