冷徹なビジネスマンとしての横顔が強調されがちな松下だが、制作現場での評判はまるで異なる。彼を知るスタッフたちが口を揃えるのは、その異常なまでの「現場主義」だ。
「どれほど多忙であっても、重要なシーンのロケには必ず顔を出す。深夜の極寒ロケで、スタッフ全員分の温かい差し入れを手配しながら、モニター越しに役者のわずかな表情の変化を見つめている姿が印象的でした」と、ある制作進行スタッフは語る。
脚本の初稿から決定稿に至るまで、作家と何十時間も膝を突き合わせて議論を重ねる。数字や契約書ばかりを見るエグゼクティブではなく、誰よりも作品の最初のファンであり、最も厳しい批評家であること。この圧倒的な熱量と誠実さがあるからこそ、気難しいトップクリエイターたちが「松下となら心中できる」と全幅の信頼を寄せるのだ。