蒙驁が前線で兵士たちから絶大な信頼を寄せられていた最大の要因は、親しみやすさと圧倒的な包容力にあります。白髪を蓄えた温和な風貌から「白老(はくろう)」と呼ばれ、自軍の末端兵士にまで気さくに声をかける姿は、恐怖で軍を率いる武将たちとは一線を画していました。
軍事面における蒙驁のスタイルは、奇をてらわない「正攻法」と「堅牢な城攻め」です。六大将軍のような突出した武力や神がかり的な知略を持たないと自覚していたからこそ、基本に忠実な兵法を徹底し、着実に勝率を積み上げました。勝てる戦を確実に拾うその安定感は、他国にとって最も攻略しづらい脅威だったといえます。
特筆すべきは、異能の将を見出す「鑑識眼」の鋭さです。後に中華を震撼させる六大将軍の王翦(おうせん)と桓騎(かんき)を副将として重用し、自らの軍に組み込んで使いこなしたのは蒙驁の最大の功績です。癖の強い怪物を従え、自軍の勝利へと還元させる度量の広さこそが、彼の真の強さでした。