女優・田中みな実の名を決定づけたのは、間違いなくテレビ朝日系で放送された『M 愛すべき人がいて』だろう。眼帯姿で放つ狂気的な秘書役は、放送直後からSNSを席巻した。「許さなーーーーい」という鬼気迫る叫びと奇怪な所作。一歩間違えればコントになりかねないエキセントリックな役柄を、彼女は徹底した自己プロデュースと研ぎ澄まされた集中力で演じ切った。
視聴者が目撃したのは、単なるコミカルな悪役ではない。そこにあったのは、愛に飢え、嫉妬に狂う人間の生々しい哀愁だった。この作品を境に、業界関係者の見る目は劇的に変わる。色眼鏡を外した制作者たちがこぞって彼女の「凄み」に気づき始めた瞬間だった。