一方で、なぜこの花が「慰め」や「純愛」の代名詞となったのか。その原点は、キリスト降誕伝説に登場する少女マデロン(キリスト降誕伝説)の物語にさかのぼる。
ベツレヘムの馬小屋で生まれたばかりの幼子イエスのもとへ、東方の三博士や羊飼いたちが黄金や乳香といった高価な贈り物を携えて集まってきた。貧しい羊飼いの少女マデロンは、自分には捧げるものが何もないことを嘆き、冬の凍てつく雪の上で涙をこぼした。その涙が土に落ちた瞬間、天から舞い降りた天使が雪を払い、そこに白く清らかな花を咲かせたという。これこそが真正のクリスマスローズとされるヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)である。
マデロンがその花を幼子イエスに捧げたことから、ニゲルには「私の心を慰めて」「清廉潔白」という崇高な花言葉が与えられた。毒草としての恐ろしい顔と、聖夜の奇跡という純真な顔。この強烈なコントラストこそが、数世紀にわたり人々を惹きつけてやまない魅力の源泉筋泉となっている。