日本中の朝を彩るNHKの連続テレビ小説 あぐり。1997年に放送されたこの名作で、三浦春馬は7歳にして鮮烈な子役デビューを飾った。彼に与えられた役は、主人公が営む美容室にやってくる少年の正太郎役だった。
わずかな出演時間。手渡されたおにぎりを無心で頬張るというシンプルな場面だ。しかし、そこに小細工は一切なかった。ただただ純粋に、空腹と温もりを全身で表現する小さな少年の姿に、撮影現場のスタッフは思わず息を呑んだという。作り物ではない本物の息遣いが、モニター越しに強く伝わってきたからだ。
「この子はレンズの前で嘘をつかない」。当時現場にいたスタッフが後にそう振り返るほど、カメラを意識させない自然体の佇まいは群を抜いていた。計算や演出を超えた本能的な表現力。その片鱗は、すでに7歳のファーストカットから眩いばかりに放たれていた。