バンドの解散という痛切な転換期を経て、小田はソロアーティストとしての道を歩み始める。自身のクリエイティブを誰にも邪魔されず貫くため、個人事務所ファー・イースト・クラブを立ち上げ、プロデュースからマネジメントまでを自ら掌握する体制を構築した。それはアーティストが自立して表現を守るための、極めて先進的な決断だった。
そして1991年、あのイントロのカッティングギターとともに『ラブ・ストーリーは突然に』が世に放たれる。ダブルミリオンを記録したこのメガヒットは、テレビドラマの枠組みを超え、社会現象として日本全土を飲み込んだ。若い頃から培ってきたアレンジの鋭さ、理系的な構成力、そして衰えを知らない高音が、90年代の幕開けと完璧にシンクロした瞬間だった。