なぜ私たちは、小さな長方形のプラスチックや紙切れを失っただけでこれほど激しく取り乱すのか。その原点は、コンピュータゲーム産業の黎明期にある。任天堂の宮本茂がマリオの世界を通じてROMカセットという「手元に所有するワクワク」を世界に定着させ、田尻智が『ポケットモンスター』を通じて「収集と交換」という物理メディアならではの熱狂を生み出した。
デジタル配信が主流となった現代にあっても、手のひらに収まるカードメディアには、所有欲を満たす重みと愛着が宿る。物理カードを紛失したときの喪失感は、そこに刻まれたプレイヤー自身の時間や思い出が断絶される痛みそのものなのだ。