百恵が主演を務め、社会現象となったTBSテレビの「赤いシリーズ」。特に1975年から放送された『赤い疑惑』では、白血病に侵されたヒロイン・大島幸子が、実は父親だと思っていた人物の実子ではなく、複雑な出生の秘密を抱えているという過酷な運命が描かれた。
映画『伊豆の踊子』での初共演以来、公私ともに最高のパートナーとなっていく三浦友和とのゴールデンコンビが確立されたのもこの時期である。ドラマの過酷な運命に翻弄されるヒロインの姿は、現実世界の百恵が背負っていた実父との因縁と奇妙なまでにシンクロしていた。画面越しの彼女の瞳に宿る独特の哀愁や翳りは、単なる演技を超え、過酷な生い立ちと戦い続ける本人の魂そのものが滲み出たものであった。