入浴中、保護者が思わず青ざめるトラブルの筆頭が「お湯が赤ちゃんの耳に入ってしまった」というケースです。中耳炎を懸念して綿棒で耳の穴の奥を執拗にいじってしまう親が後を絶ちませんが、これは小児耳鼻科医が最も強く警鐘を鳴らす危険行為です。
赤ちゃんのお風呂で耳に水が入った場合の対処法として知っておくべき解剖学的真実は、赤ちゃんの外耳道は狭く、かつ鼓膜によって奥の内耳・中耳とは遮断されているため、外から入った水がそのまま中耳炎を引き起こすことは構造上あり得ないという点です。奥まで綿棒を差し込むと、濡れてふやけた繊細な外耳道粘膜を傷つけ、外耳炎や耳垢塞栓を誘発します。正しい対処法は、「外耳の入り口付近に溜まった水分をタオルやガーゼで優しく吸い取るだけ」で十分です。頭の向きを変えたり寝返りを打ったりする過程で、体温による蒸発と自然排出に任せるのが医療上の正解です。
お風呂上がりのスキンケアにおいては、赤ちゃんのお風呂上がりの正しい保湿ケアを迅速に行えるかが将来の肌質を左右します。国立成育医療研究センターの研究をはじめとする近年のアレルギー研究では、乳児期の徹底した保湿がアトピー性皮膚炎の発症リスクを下げ、食物アレルギーの経皮感作を防ぐ重要な防壁になることが実証されています。
保湿のゴールデンタイムは「浴室を出てから5分以内」です。水分を拭き取った直後から赤ちゃんの肌は猛烈な勢いで乾燥し始め、10分後には入浴前よりも水分量が低下する過乾燥状態に陥ります。塗布する保湿剤(ヘパリン類似物質やワセリン、高保湿ローション)の量は、大人の手のひらで擦り合わせるのではなく、赤ちゃんの肌に点置きし、擦らずシワの方向に沿って滑らせます。「ティッシュペーパーが肌に張り付く程度」「塗った直後にテカッと光る程度」が適正量の目安です。