夏彦を語る上で欠かせないのが、放送部で行動を共にする七峰桜に対する常軌を逸した執着心だ。表向きは「お嬢様」「桜ちゃん」と呼び、軽薄なアプローチを繰り返しては冷たくあしらわれるお約束のやり取りが日常茶飯事となっている。しかし、そのおちゃらけた態度とは裏腹に、彼女の身に危険が及んだ際に見せる刹那的な真剣さは、彼らが単なるクラスメイトや怪異の協力者という枠組みを超えた特別な絆で結ばれていることを物語っている。
桜が背負う運命の重さや、彼女が求める「願い」に対して、夏彦はどこまで理解し関与しているのか。二人の出会いの経緯や過去の契約についての全貌は未だ明かされていないものの、彼が桜のために自らの命すら投げ出しかねない危うさを秘めていることは確かだ。彼の一見チャラチャラした言動は、桜が抱える絶望や闇を和らげるための彼なりの処世術であり、歪ながらも深い愛憎と忠誠心がそこには存在している。