料理本のアカデミー賞と称される「グルマン世界料理本大賞」を2005年に日本人として初めて受賞した栗原はるみさん。彼女が生み出すレシピの真骨頂は、大掛かりな仕掛けではなく「家庭にある基本の調味料で、誰でも最高到達点に達する再現性の高さ」にあります。その代表格こそが、栗原家で親子3代にわたって受け継がれてきた鶏のから揚げです。
世間一般の唐揚げは「揚げたてのアツアツが一番美味しく、冷めると衣が湿気て肉が固くなる」という宿命を抱えています。しかし、多くのファンが口を揃える栗原はるみ 唐揚げ 絶賛の真相は、冷めた時にこそ真価を発揮する点にあります。冷めてもジューシーな肉質が保たれる背景には、タンパク質の変性を最小限に抑える温度管理と、肉の水分を抱き留める浸透圧のコントロールが存在します。
濃い塩分に長時間漬け込むと、肉の水分が浸透圧によって外へ流出し、加熱後にパサつく原因となります。栗原流では後述する絶妙な下味の濃度と短時間の漬け込みを採用することで、肉内部のジューシーさを物理的にキープしているのです。この「冷めても美味しい設計」こそが、日常的にお弁当を作る親世代から絶大な信頼を寄せられている最大の理由といえます。