駅改札を出てデッキを下りると、わずか数十歩で花弁の海に包まれる設計は、初めて訪れた誰もが息を呑む景観を生み出しています。練馬区は古くからツツジの栽培が盛んであり、昭和の都市化の波に抗うようにして区の花に「ツツジ」を指定しました。その集大成として1994年(平成6年)に誕生したのが本園です。区の都市緑化推進資料によると、開園当初から単なる芝生主体の多目的広場ではなく、「生きたツツジの博物館」をコンセプトに設計された経緯があります。
一般的に街路樹や児童公園で見かけるツツジといえば、赤紫のオオムラサキや白のヒラドツツジが大半を占めます。しかし、練馬区立平成つつじ公園が全国の愛好家から「練馬区屈指のツツジ名所」と称賛される理由は、その品種の多様性にあります。久留米ツツジ、キリシマツツジ、ヤマツツジ系、さらには江戸時代に作出された希少な江戸キリシマの系統や遅咲きのサツキまで、約600品種が段々畑のような起伏に富んだ花壇に整然と配植されています。
現地を歩くと、花びらの直径が数ミリしかない極小輪の可憐な花から、大人の手のひらほどもある大輪種までが重層的に重なり合っており、視線が途切れる隙間がありません。高低差を活かした立体的な植栽構造により、駅前の高層ビル群を背景にしながらも、視界一面が花壁で満たされる計算し尽くされた空間美学が、この場所を唯一無二の存在に押し上げています。