見た目の凶悪さから「猛毒を持っているのではないか」「寝ている間に噛まれるのではないか」と恐れられますが、結論から言えば、人間に対する毒性は皆無に等しいのが事実です。
もちろん、昆虫を麻痺させるための微弱な神経毒は備えています。しかしこれは昆虫の神経系に特化したものであり、哺乳類である人間に対しては極めて低い影響力しか持ちません。日本中毒情報センター等の知見でも、アシダカグモによる重篤な中毒事例は報告されていません。万が一、手で強く握りつぶすなどして物理的に牙が刺さった場合でも、患部が赤く腫れたり蚊に刺された程度のチクチクとした痛みが数時間残ったりする程度で、アナフィラキシー等の特異体質を除けば後遺症の心配はありません。
彼らの本来の性格は「臆病」そのものです。人間を感知した瞬間、驚異的な脱兎の勢いで家具の裏や物陰へと逃走を図ります。「向かって突進してきた」と感じるケースの多くは、パニックを起こしたクモが逃げ場を探す途中で、たまたま人間の足元方向へ走ってしまったことによる偶発的なニアミスです。
ネット上のコミュニティ(SNSや大手掲示板、Q&Aサイト)のリアルな反応を分析すると、世論は大きく2つに分かれています。
「最初は化け物が出たと卒倒しかけたが、姿を見かけるようになってから長年悩まされていたチャバネゴキブリが完全に消滅した。今では我が家の守護神」「部屋の隅に鎮座しているのを見ると安心感すら覚える」という熱烈な擁護派が一定数存在する一方で、「益虫だと頭では理解していても、生理的に無理。あのサイズが天井から落ちてきたら発狂する」「同居のストレスで夜も眠れず、精神衛生上耐えられない」という切実な恐怖の告白も根強く存在します。知識としての理解と、原始的な恐怖心とのギャップが、このクモに対する評価を二分している要因です。