両者の違いを理解するうえで基礎となるのが、地域保健法における位置付けです。同じ公衆衛生を扱う機関でありながら、法律上の規定条項と設置主体が明確に区別されています。
保健所は、地域保健法第5条に基づき、都道府県、政令指定都市、中核市、保健所政令市、東京都の23特別区に設置義務が課されています。全国に約470カ所展開しており、広域的・専門的な公衆衛生行政を統括する司令塔としての性格を持ちます。原則として医師免許を持つ医師が所長を務めることが定められており(例外規定あり)、医師のほかにも獣医師、薬剤師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士、食品衛生監視員、環境衛生監視員など、多岐にわたる国家資格職が配置されています。
一方、市町村保健センターは、地域保健法第18条に基づき、一般の市町村(特別区を含む)が住民に対して健康相談や保健指導を行う拠点として設置できる施設です。全国に2,400カ所以上存在し、住民票を置く自治体の役場窓口や総合福祉センター内に併設されているケースが目立ちます。こちらは医師の常駐義務がなく、現場の主軸となるのは住民に寄り添う保健師や管理栄養士、看護師、歯科衛生士です。つまり、管轄スケールと専門性の深さにおいて、明確な縦分けがなされています。