情緒的な魅力に溢れる一方で、物理的な路面環境の悪化を軽視してはなりません。首都高速道路公社や警察庁の統計によると、雨天時の1時間あたり事故発生件数は晴天時と比較して約4.2倍に跳ね上がります。特に追突事故と施設接触事故の割合が突出しており、ドライバーの認知遅れと制動距離の伸張が主な要因として報告されています。
走行の安全性を担保するうえで最も警戒すべき事象が、タイヤと路面の間に水膜が入り込んでグリップ力を失う現象です。ハイドロプレーニング現象の危険性と予防法を正しく把握していなければ、高速巡航中に突如としてステアリングもブレーキも効かない完全な制御不能状態に陥ります。残溝が3.0mm以下に摩耗したタイヤでは、時速70km/h程度の走行でも水膜の排水が追いつかなくなることが実験データで証明されています。水たまりを見かけた際は急なハンドル操作や急制動を厳禁とし、事前にアクセルオフで緩やかに減速する運転操作が鉄則です。
また、雨天時の走行安全を左右するもう一つの核心が、フロントガラス曇り止め対策とデフロスター活用法です。車内の湿度上昇によってガラス内面が結露した場合、単にエアコンの風量を上げるだけでは不十分です。「外気導入モード」を選択した上で「A/C(コンプレッサー)」を作動させ、扇形のデフロスターボタンをONにすることが物理的に最速の除湿手段となります。内気循環モードのままにしておくと、乗員の呼気で湿度が逃げず、視界不良が長期化する重大なリスクを招きます。