「真夏の酷暑でどうしても木の上で赤くならない」「秋口に入って気温が下がり、これ以上畑に置いても熟す見込みがない」。そんなときは、無理に枝につけたまま放置せず、収穫して室内で追熟(ついじゅく)させるアプローチが有効です。
トマトは「クライマクテリック型果実」に分類され、収穫後も自身から放出する植物ホルモンエチレンガスによって成熟が進む性質を持っています。ただし、追熟を成功させるには「収穫のタイミング」が決定的な分岐点となります。完全に未成熟な白緑色の小さな実は、収穫してもシワシワになって枯れるだけで赤くなりません。実のサイズが品種本来の大きさに達し、わずかでも果頂部に黄色みや淡いピンクの兆候が出始めた「ブレーカー期」の実を摘み取ることが鉄則です。
最も効果的な手法がリンゴのエチレンガス追熟です。密閉できるポリ袋や紙袋の中に青いトマトを入れ、そこにリンゴ(またはバナナ)を1個同梱して室温(20℃〜25℃の直射日光が当たらない冷暗所)に保管します。リンゴから大量に放出されるエチレンガスがトマトの受容体を刺激し、クロロフィルの分解とリコピンの合成を一気に加速させます。通常であれば約3日〜7日で見事なルビー色へと変化します。
冷蔵庫の野菜室に入れてしまうと、低温障害によって追熟プロセスが停止し、果肉が水っぽく劣化するため絶対に常温で管理してください。