支保工(しほこう)とは、土木・建築工事において、未完成の構造物(硬化前の生コンクリートや鉄骨梁など)や、掘削によって不安定になった地盤・トンネル内壁などを、自立できる強度に達するまで一時的に支持・維持する仮設構造物の総称です。英語では「Shoring(ショアリング)」や「Falsework(フォルスワーク)」と呼ばれ、現場の物理的な崩落を食い止める防波堤の役割を担っています。
現場を視察した際、多くの初学者が抱く最大の疑問が「支保工と足場の違いはどこにあるのか」という点です。どちらも鋼管や単管、ジャッキを組み上げて作られるため、一見すると外観上の差異は見出しにくいかもしれません。しかし、構造工学的な支持対象と目的において、両者は完全に一線を画しています。
端的に言えば、足場が壊れた場合はその床に乗っている作業員が墜落する危険が生じますが、支保工が破断・座屈した場合は、上部の構造物全体や背面の土砂が一気に崩壊し、直下や内部にいる作業員全員を押し潰す壊滅的惨事となります。この荷重規模の格差こそが、支保工においてミリ単位の施工精度と厳密な構造検討が求められる所以です。