コンテンポラリーダンスという名称に含まれる「contemporary」とは、英語で「同時代の」「現代の」を意味します。このジャンルを理解するうえで最初に知るべき事実は、あらかじめ決められたステップや振付の厳格なカタログが存在しないという点です。
バレエのように指先の角度や足のポジションが体系化されているわけでも、ストリートダンスのようにビートに合わせて技を繰り出すわけでもありません。自らの骨格、筋肉、呼吸、そして「いまこの瞬間」にダンサーが受けている感情や環境の刺激をダイレクトに身体へ落とし込むこと――それ自体がこの表現の本質です。
身体技法の面では、床を転がり摩擦や自重を利用する「フロアワーク」や、他者との接触を通じて力とバランスを共有する「コンタクト・インプロヴィゼーション(接触即興)」などが頻繁に用いられます。無駄な力みを徹底的に排除する「リリース・テクニック」によって、脱力と緊張のダイナミクスを極限まで引き出します。形がないからこそ、踊り手の肉体そのものが持つ質感や癖、生きてきた軌跡がそのまま舞台上に現れます。