飼育コミュニティやQ&Aサイトにおいて毎年春先に繰り返される定番の相談があります。「メスばかり3匹で仲良く飼っていたつもりのケース内に、突如4つの卵が産み落とされていた」というケースです。判定ミスによってオスが混ざっていたパターンだけでなく、野外で採取した時点で既にメスが交尾を終えて精子を体内に蓄えていたパターンも珍しくありません。
カナヘビの雌雄が同居している場合、春季から初夏(4月〜7月頃)にかけて独特のカナヘビ 繁殖期の行動が見られます。オスはメスを執拗に追いかけ、メスの首の後ろや脇腹を強い力で噛み留めます。初めてこの光景を目撃した飼育者は「激しい共食いや激突喧嘩が起きた」と慌てて引き離しがちですが、これはトカゲ類特有の正常な交尾体勢(交尾行動)です。メス側が受け入れ態勢を示す際は、前足を円を描くようにゆっくり回す「アームウェイビング」と呼ばれる服従・受容のシグナルを発信します。
しかし、カナヘビ 多頭飼い オスメス相性を軽視した飼育には重大なリスクが潜んでいます。同じケージ内に複数の成熟したオスを同居させると、縄張り意識から壮絶な闘争が発生し、互いの四肢を噛み砕く事故に発展します。また、オス1匹に対してメス1匹のペア飼育であっても、行動範囲の狭いケージ内ではオスの求愛圧迫がメスに集中し、メスが拒食や過度の疲労に陥る事例が後を絶ちません。
交尾が成功したメスは、約3〜4週間で腹部が横に大きく張り出します。これがカナヘビの産卵と妊娠の見極めポイントです。妊娠後期のメスはお腹の両脇がボコボコと歪な形状になり、指で軽く触れずとも体表越しに丸い卵の輪郭(通常1クラッチあたり2〜6個)が浮き彫りになります。産卵直前のメスはシェルターの隅や湿った床材を激しく掘り返す動作(産卵床探し)を繰り返すため、速やかに産卵用の湿らせたバーミキュライトや黒土を配備しなければ、卵詰まり(難産)を起こして命を落とします。