作品の魅力を一層引き立てているのが、作中にちりばめられた精緻な伏線と裏設定の存在だ。言葉を解しながらも人間とは根本的に異なる思考回路を持つ「魔族」の生態描写はその筆頭と言える。彼らにとって言葉は他者を欺くための道具に過ぎず、感情や倫理概念は存在しない。この設定が、作品全体に漂う緊張感を生み出している。
また、フリーレンが所持する「聖杖記章(せいじょうきしょう)」を巡る謎も興味深い。大魔法使いゼーリエや創世の時代に関わる歴史的遺物であり、かつて世界を救った伝説の魔法使いとの繋がりを示唆している。さらに、フランメの手記に記された「魂の眠る地(エンデ)」の真実や、勇者の剣の台座に刺さったまま抜けることがなかった「偽りの勇者」ヒンメルの真意など、回収が待たれる謎は数多い。