土師淳くん(当時11歳)や山下彩花ちゃん(当時10歳)の命を無残に奪われた遺族にとって、本書の刊行は魂を再び切り裂かれるような二次被害であった。「手記を出す暇があるなら、なぜ直接謝罪の手紙を書かないのか」という遺族の叫びは、あまりにも重い。著書印税の一部を作家活動ではなく被害者弁済に充てる意向が示されたものの、遺族側は受け取りを拒否し、出版そのものの差し止めと回収を強く要求した。
日本には2004年に成立した犯罪被害者等基本法が存在するが、加害者の手記出版を法的に直接制限する枠組みは整っていない。アメリカの一部の州に存在する「サムの息子法(加害者が事件を題材にした出版等で利益を得ることを禁止する法律)」のような法規制を日本にも導入すべきだという議論は、この出版を機に一気に加速した。