なぜこの最高級部位が「シャトーブリアン」と呼ばれるようになったのか、そのルーツは19世紀初頭のフランスに遡ります。
名称の直接の由来となったのは、フランス革命前後の激動の時代に活躍した作家であり政治家でもあったフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン子爵(1768〜1848年)です。希代の美食家として知られた子爵は、牛ヒレ肉の極上の中央部分を格別に愛し、お抱えの料理長であったモントミレイユに命じて、この部位ばかりを好んで調理させました。
料理長が子爵のために考案した「厚切りの極上ヒレ肉を贅沢に焼き上げるステーキ料理」は、当時のパリの社交界で瞬く間に評判となり、いつしかその料理自体や部位そのものが「シャトーブリアン」と呼ばれるようになりました。歴史に名を残す貴族の類まれな美食へのこだわりが、現代の最高級肉の名称として受け継がれているのです。