すったて汁の骨格をつくるのは、驚くほどシンプルな食材たちだ。炒りたての白胡麻、味わい深い味噌、キュウリ、ミョウガ、大葉、そして隠し味の玉ねぎ。これらを擂り鉢で丹念に摺り合わせていく作業こそが、美味しさへの第一歩となる。胡麻の油分がじわじわと滲み出て味噌と溶け合い、芳醇なペースト状になった瞬間、香ばしいアロマが部屋いっぱいに広がる。
近年、レシピ共有サイトのクックパッドでも「本格すったて」の検索数が夏場に急増する。家庭で作る際のコツは、とにかく冷たさをキープすること。冷水や氷で一気に延ばし、冷やした手打ちうどんと合わせる。料理研究家の栗原はるみ氏が紹介するような、旬の和素材を活かした丁寧な手仕事に通ずる奥深さが、この一杯には凝縮されているのだ。